古民家ライフ 株式会社 代表取締役
高木孝治
私は工務店の二代目として生まれました。
小さいころから遊び場は材木置き場、玄翁やのこぎり、材木の切れ端が遊び道具でした。遊び相手はうちに出入りしている大工さん。
家の中には、大工さん達や父についてくる木屑が常にどこかに落ちていました。
そんな環境で育ったので、当然将来は家の仕事をやるものだと幼心に思っており、小学生になった私の夢は設計士になることでした。
そんな思いを抱えつつも、人並みに高校を卒業し、そして大学受験に失敗して浪人をしていたその年、自分の人生にとって、とても大きな事件が起こりました。
それは父の死でした。
ワンマン経営で成り立っていた父の会社はもろく崩れ去りました。会社の倒産というまるで他人事の話のような体験しました。
今でこそやっとこうして人に言えるようにまでなりましたが、あの一件を通していろいろな体験をしたからこそ今の自分があると思っています。当時はそれこそ悲劇のヒロインばりに、何故自分ばかりこんなに辛い思いを...なんて考えていました。
大学へ進学することも諦め、働き始め、建築へ進む道は閉ざされてしまったように思えていたそんな時、ふらふらと立ち寄った本屋さんで何気なく手に取った建築雑誌の中で "古民家再生" の記事に出会ったのです。
その瞬間に頭をガツンと横から殴られるような錯覚を覚えました。
今となっては何故だか良くわかりませんが、自分はこれからこれをやっていこう、とその瞬間に決めたのです。
それが1994年のことですからもう20年程も前のことになります。
当時、古民家に関する情報はあまりにも少なく、”古民家” というキーワードを見れば本を買い込んだり、図書館で資料を見つけたり。
ホームページを検索しても出てくる企業はほんのわずかでした。
いてもたってもいられず、長野県に住む古民家再生分野では有名な先生のところへ突然お尋ねしたこともありました。
「古民家の再生をこの手でしたい。ひとつでも多く残したい。良さを皆に知ってもらいたい。」
そんな思いをずっと抱えてやってきました。
それこそが自分の使命(ミッション)なんだと思っています。
そして今、皆様の生活を少しでも豊かに、幸せに出来ることを目指しながら、古民家事業だけでなく、様々な活動を日々行っています。
プロフィール
1975
福島県伊達市出身
工務店の2代目として生まれる。
会社を継ぐべく大学進学を目指すものの、
予備校在学中に父の死と工務店の倒産を経験し挫折。
偶然出会った古民家の記事を見て
これをライフワークとすることを決める。
2000
春 神楽坂建築塾にて建築評論家 平良敬一先生
神楽坂建築塾 塾長 建築家 鈴木喜一先生と出会う。
「技能の復権」をテーマにした講演を聞き、
勤めていた設計事務所を辞め、古民家をやるため大工に転身。
以後
旧吉尾家住宅復元工事
一関市指定有形文化財武家住宅旧沼田家復元工事
伝統構法 佐藤家住宅 等に携り
2006
「受け継ぐ」をテーマに古民家ライフの運営を始める。
2008
自邸「山麓の家」の工事に着手。
現在大工をする傍ら自然体で暮らすことを実践している。
衣食住についての企画・提案を行う。